Cultivator/Voice of Love

日本の9人組ダブ/レゲエバンド、の1st。泥臭さや明るさや温かみよりも鋭さや迫力が前に出ているような感じの、とても格好良くて緊張感のある音。レゲエとかダブとかにここ最近興味が出てきた、と言っても自分のツボはヘヴィかつシリアス目なものにかなり限定されていて、そのツボにずっぱりはまるアルバムに多くは出会えていないんだけれども、これは本当に良い感じ。リズムがずっしりと重くて、けれども重苦しくはなくしなやかで、クールで色気があって、お洒落な感じにもピースフルな感じにもならない。緩いテンポの中にしっかり気迫が篭められているような感じ。腰の据わったコアな音楽だが、勿論それと同時に心地良く身体を揺らせるダンスミュージックでもある。

根本的なところで不器用な件について愚痴をこぼす

今まで家にいる時は専らコーヒーをコーヒーメーカーでだばっと作ってだらだら飲んでいたんだけれども、一ヶ月ほど前に何となく気が向いて紅茶を買って来た。で、戸棚に放置されていた道具を使って淹れてみたんだけれども、これが壊滅的に不味かった。まあ、今までロクに紅茶を淹れた事などなかったのだから仕方ないと言えば仕方ないんだけれども、それにしたってあんまりだった。
そんなわけなので、紅茶くらいはマトモに淹れられるようになろう、と思い立ち、それから家ではコーヒーの代わりに紅茶を淹れて飲む事にしている。のだけれども、これがまた一向に上達しない。俺は味覚が肥えている訳でも鋭いわけでもないが(タバコを吸うので味蕾も随分磨り減っているだろうし)、そんな味覚でもはっきりわかるくらい上手くならないのだった。5回に1回くらいしか、まあまあマシかもしれないって具合にならない。一応ちゃんとしたやり方を調べてやってみたりしているんだけれどもなあ……俺は料理も基本的には駄目なんだけれども、何と言うか、この手のこと全般に勘が働かないような気がする。続けていけば身に付くものってのも勿論あるんだろうけれども、そういうのとはまた別に、もっとこう根っこの部分からしてに不器用で向いていないような気がしてならないのだった。
今も日記を書きながら飲んでいるんだけれども、なかなか良い感じにスムーズな風にならんなあ。大概は、なんか舌に引っかかる良くない渋みが出る。要精進。
先月はCDの感想をやたら書いたので、今月は日記をさくさく書いてゆくつもり。


選挙の歓喜を無限に味わうために、次の選挙のために、次の次の選挙のために

民主党が大敗したのは、ある意味では民主党が政権を担当し得る政党であると広く認められた、と言う事を示してもいると思う。今回、民主党に入れた人は民主を「次の与党」と認識した上で投票していたはずで、自民が勝ち過ぎないように民主に入れると言う55年体制的なバランス感覚に基いて、つまり民主党を野党と認識した上で投票した人は、たぶん大幅に減った。今回の選挙の構図は確かに「自民か民主か」であって、「自民かそれ以外か」ではなかった。が、勝負の舞台は整えられたがそこで勝つ地力は付いていなかった。だから予想以上に負けた。死票の多い小選挙区制と言う制度そのものが、民主にとってモロに裏目に出た。
従って二大政党制が現実のものになる日が遠ざかったわけではない。ただ、ここで速やかにしっかり党を立て直して次の世代のリーダーを立てる事が出来なければ、打たれ弱いインテリ集団、統率の取れていない烏合の衆と言うイメージを拭えずに次の(今回自民が勝ち過ぎた事による)揺り戻しの波に乗り損ねると思われる。


Clue to Kalo/One Way,It's Everyway  (ASIN:B000A1EDAW)

先日感想を書いたNobody「And Everything Else……」(感想はこちら)と非常によく似た同心円状のデザインが描かれたジャケットに目を引かれて、CD屋でこのアルバムを手に取った。すると、そこには「include:Nobody Remix」と書かれたステッカーが貼ってあったので、これは買えということだろうなあと思いながらレジへ持って行った。実際、このアルバムはとてもいい。買ってみて良かった、と心底思えるだけの内容だと思う。
エレクトロニカの手法を通したサイケデリックなフォーク、あるいはソフトロック、と言った感じ。サイケデリックと言っても毒々しくドラッギーな方ではなく、じんわりと、ただし絶え間なく多幸感を神経に送り込んでくれる何ともドリーミーな方の手触り。よくよく聴けば明らかにそれっぽい電子音はそこここに聴こえるし、ヒップホップ以降のリズム感が土台にあることも感じ取れるものの、流して聴いていれば全体的な印象はむしろ非常にレトロかつアナログなもの。びよんびよんと鳴るエレキギターにさらさら掻き鳴らされるアコースティックギター、それにドラムとベース。基本的なロックコンボに使われる楽器を駆使し……と言うか、むしろメインはあくまでも生音、バンドサウンドなのだと思う。その隙間に様々な電子音を織り込んでいるのだけれども、エレクトロニックで滑らかな音たちはとても優しくヴォーカルやバンドサウンドと絡み合ってゆるゆるとした空気を作り出している。甘い夢の中をふわふわと泳いでいるのか浮かんでいるのか、と言った具合の音で、ひたすらに聴いていて心地良い。ギターの逆回転、使い古した電気ピアノ、鉄琴、チェンバロなどを模した音を多用しているのも実に良い演出になっている。
インストのみの曲はなく、楽曲の全てが歌入りで、この歌がまた良い。こう言ったタイプの曲を歌うためにあるかのような、朴訥で何やら引っ込み思案な感じのする声(天性の歌い手と言った風でない、訥々とした歌い方も好印象)で歌われるメロディには、雰囲気モノに陥らないだけの良さ、繰り返し聴いていればしっとりと身体に染み渡ってゆくような温かみがある。たまたまエレクトロニカの手法に長けていたからこういう形式の音楽になっているが、もし打ち込みなしのバンドサウンドだけでも、あるいはひょっとしたらギター一本だけでも、十分に成り立つのではないかと思えるようなメロディと声の良さは大きな魅力。
普遍的な懐かしさを喚起するような音だと思う。誰が聴いても、なんとはなしにその人それぞれの昔の光景を思い出させるような、とても優しい音。流れるように曲が進み、そして一つ一つの音があまりにも滑らかなために曲単位でのフックには欠けるが、その代わりアルバムのどの瞬間を切り取ってもとても心地良く温かみのある音とメロディが必ずある。何かをする意欲があまり沸いて来ない時、眠る前、何か音を流していたいが神経に障る音はちょっと、と言うときに聴くと、この深くて柔らかい音にゆるゆるとハマれる。サイケポップ方面が好きな方は勿論だが、これは誰にでもお勧め出来る一枚だと思う。
ちなみに、ボーナストラックとしてAntimc、Daedelus、そしてNobodyによるリミックスが収められている。いずれもエレクトロニックな手触りを押し出した前衛ヒップホップの色が強い仕上がりで、こっち方面とも大いに関係のある音なのだと言うのがよくわかる。

本日のダメージ・その2

帰りの電車の中での話。
平尾駅に止まったとき、子供二人連れが乗って来た。片方は10歳くらい、もう片方は7歳くらいの、たぶん姉妹。姉の方は、電車に入ってくるなり「とーろけるー」と妙な節回しを付けて言いながら(今日は確かにやたらと暑かった)椅子に座る。全身から元気が発散されているというか、陰がぜんぜんなさそうな感じの子で、何となく微笑ましい気持ちでその挙動を見るとはなしに見ていると、その子はポーチから一冊の漫画を取り出して読み始めた。何だろう、と思って表紙を見てみると、「僕は妹に恋をする(10)」だった。
……。
なんか知らんがへこんだ。すごい脱力した。しかも、やたら楽しそうに読んでいた。

本日のダメージ・その1

暑い暑いと思いながらぽつぽつと大名の辺りを歩いていたら、カップルらしい男女二人連れと擦れ違ったんだけれども、そのうちの女の方が丁度俺と擦れ違うタイミングでこんな事を言っていたのが聞こえた。かなりはっきり聞こえた。
「もうこれ以上借金なんてできるわけないでしょ……!」
……。
なんか知らんがへこんだ。自分の境遇とは無論何の関係もないが、それでもざっくり来た。だって、「もうこれ以上」「借金」「できるわけない」だもんなあ……多分、これ誰が聞いてもダメージ受けるだろうな。街中で言うべき台詞ではないと思う。


杜塚秋人に大切なこと

とある季節限定のとても面白い冗談を今月の2日辺りに思い付いた、と言う事を俺は今の今まで忘れていて、使うタイミングを完全に逸したのでたいへんもったいない事をした、と悔しがっているんだけれども、それなら来年の9月まで誰にも言わずに黙っておけば十全にその冗談が再利用(再、ではないが)出来たのではないか、と言う事に気付き、これを書きながら二重にもったいない事をしてしまったと今現在の俺は悔やんでいるんだけれども、ここまで書いてしまった文章を破棄すると三重にもったいない事をしてしまう事になるような気がするので、もうこのまま書いてしまいたい。書きます。心して読むがいい。
甲子園がいつの間にか終わっていて、たいへん驚きました。
……。
ユーモア感覚って、面白さって、どうやったら手に入るんだろう。



ところで、夜中に食う焼きおにぎりはうまい。