Q and not U/Power

FUGAZIと強い関連性を持つ音、と説明されてもFUGAZIを聴いたことがないのでその辺は解らない。で、そんな自分がこれを聴くと、Gang of FourTalking Headsの影響が色濃いダンサブルなビートにへろへろしたヴォーカル、例のじゃきじゃきしたギターと言った諸要素が絡んで作られる職人肌の捻れポップ、と言った印象になるのだった。チープだが絶妙なシンセの入れ方やメロディのポップ感覚、そしてギターとリズムのコンビネーションがとても気持ち良い。何と言うか、リズムの切れ味は鋭いんだけれども勢い任せで作っている感じではなく曲が良く練られていて、音数が多いわけではないが音像はやたらとカラフルで聴いていて飽きない。ポップってのはこういう事だ、みたいな、すごく素敵なアルバム。普段洋楽をそんなに聴かない人でも、The Great Adventureとかスパルタローカルズとか好きならお勧めだと思う。

スクールランブルを読んでみました

なんでもいいから軽く漫画を、と思って貸し本屋で10冊まとめて借りて読んだんだけれども、これが思った以上に面白かった。絵柄はアレなんだけれども、割とまっとうと言うか、キャラがやたら多いけれどもそれぞれちゃんと書き分けられていて、まあ群像劇って言ったらあんまりにも大げさだけれども、それぞれの立場や考えが明らかにされているので楽しく読めたのでした。落ちモノとかハーレムモノとかとは異なる、ちょっと(滑り気味の)ギャグには傾いてるけど結構正統派のラブコメのような気がする。
キャラがやたら多いんだけどしっかり整理されてて、バラバラなようで大きな一つの流れが出来つつある、って言う構図、別のところでも見たなあ……と思って記憶を掘り返してみたら、あれだった。なんかナデシコを連想させるものがあったんだな。あれも、見ようによっては学校モノと言えなくもないし。
出て来る人出て来る人が揃って躁状態でどんどんおかしなところに突き進むところ、強引気味な勘違いで話がこじれまくるところなんかは読んでいてちょっと恥ずかしくもあるんだけれども、まあしばらくすると慣れる。で、慣れてくるとその妙なテンションがじわじわと効いて来る。結構これはクセになるかもしれない、と言う感じ。あと、塚本姉妹はダメ琥珀と完璧翡翠だな。誰が何と言おうとそうだ。
……みたいな事を書いていたら、いつも読ませてもらってるHEAVYROCK JUNK-YZさんのところにえらく突っ込んだレビューが書いてあった。うわ、こう言う事が言いたかったんです、ってわけで興味のある方は是非ご一読を。
しかし、ここ最近の少年誌のラブコメみたいなので一番面白かったのは何と言っても「いでじゅう!」だった。あれは本当に面白かったなあ。もう終わったけど。


Soulfly/Dark Ages  (ASIN:B000AA7D8W)

前作「Prophecy」は、これまでになくワールド・ミュージックの要素を取り入れた内容だった。ボサノバ、ガムラン、レゲエ、フラメンコ……と言った音楽を凶悪なバンドサウンドの隙間に差し挟み、静と動、聖と俗の対比を描き出していた。それに比べると、本作は(アルバムタイトル通り、と言うことなのか)随分モノトーンで、怒気一色に塗りつぶされたかのようにゴツゴツした手触り。気合いが入りまくった一音一音の強度と鋭さ、猛り狂いながらもどこか高潔な空気をまとうマックス・カヴァレラの迫力は強烈極まりない。
血を吐くかのような咆哮と地を揺らす巨大なリズム、怪しげなトーンでかき鳴らされる呪術的なギターフレーズ、バンド名を冠した深遠なインスト#15「Soulfly V」の存在など、このバンドが持っている他に無い特徴は、勿論今まで通り。だが、本作はスラッシュメタル回帰とも思える路線が採られており、刺々しい緊張感を持って突っ走る曲が多く収められている、と言うのがこれまでのアルバムと大幅に異なるところだと思う。前作までで辿り着いた境地を活かした上でいま再びSoulfly流のスラッシュメタルを目指している、と言った具合で、前作がやや拡散傾向にあったのと好対照を成すかのように、次々と撃ち放たれてゆく2ビートとガリガリしたリフと鬼神のような咆哮のコンビネーションはめちゃめちゃ格好良い。ジャングルの奥地に住む部族の密儀のような、怪しい生命力に満ちた土着的リズムは以前ほど前面に出ていないものの楽曲の内部より深くに取り込まれているような感じで、前作から一年そこそこと言う短いインターバルで発表されたにしては非常に良くアレンジが練られていると思う。また、全体的な音作りも、潰れる寸前にまで歪んだ音で重低音を強調していたものが幾分硬質でシャープなものになっていて、何と言うか前よりヘヴィメタルっぽい音になっているのが良く合っている。
前作以上に前面に出て来るリードギターの存在感も非常に大きい。時としてスタンダードなヘヴィメタルの作法に基いた泣きを存分に聴かせ、またある時はラテン音楽の熱く物憂げな空気を送り込み、別の時は楽曲全体を更に加速させるアクセラレータの役目を果たし、と縦横に活躍するギターソロが大抵の曲に配されていて、これがまた楽曲のインパクトを何倍にも増す効果を果たしている。
ソロあり突進2ビートありミドルテンポあり、と一曲一曲で見てもアルバム全体の構成を見ても、とてもバランスが良い。#3「I and I」や#7「Frontline」や#13「Fuel the Hate」など、これまでのグルーヴ感とトライバルな要素とスラッシュメタルが見事に融合した優れた曲がある一方で、サビのクリーンなコーラスが非常に印象的な#「Innerspirit」、スラッシュと言うよりハードコアパンクっぽい#5「Molotov」辺りの曲も面白い。15曲で66分と詰め込み過ぎなために全部聴き通すと疲れてしまう、と言うのは彼らのアルバムに一貫した欠点ではあるが、かと言って本作には目立つ中だるみがあるわけでもないし、終曲の#15「Soulfly」で10分かけてゆっくりチルアウトしてゆくのも良い味になっている。音に滲む風格や威厳となりふり構わず突っ走る攻撃性が高いレベルで一体化した非常に充実したアルバムであり、やはりSoulflyは唯一無二だということが改めて確認出来る力作。

Primal Scream/Vanishing Point

ここ数日急激にプライマル強化月間が訪れたので、MotorpsychoとPorcupine Treeとプライマルを全部混ぜたプレイリストをランダムにしてずっと聴いていました。で、本作だが、ダブの要素を大幅に取り入れ、サイケで煙たくてモノトーンな空気が立ち込めている。胡散臭くてだらしなく、軽薄にして洒脱だが凶暴性が隠されているような……要するに自分が考えるハードボイルドな格好良さってのがちょうどこんな感じなのだった。古い映画にインスピレーションを得て作ったからなのか、どことなくサントラ風で三人称の音楽になっているところがまた好みなのかも知れない、と聴きながら思う。「Exterminater」も良いけれども、彼らのアルバムの中で一枚挙げるなら自分はこれにすると思う(「Echo Dek」を除けば)。夜中に飲みながらでも、運転中でもいいが、何となく一人でいる時に聴くのがあっているような音楽。


ちなみに。
ヤマザキさんのところのDream Theater評にこんな一文がある(引用中の「ここ最近の彼ら」と言うのはDream Theaterのこと)。

ここ最近の彼らというのは、何処となく RADIOHEAD に近いものがあると知人が語っていたのを聞いて、成る程言い得て妙と頷いたものだ。何がって、実はミーハー気質が強く、また決して斬新なパイオニアという訳でもないのに、毎度様々な狙いと手口を駆使して "ロック偏差値" を巧妙に高め、多大な求心力と神格化を築いているというところが、である。

この分析はプライマルにもそっくりそのまま当てはまる事であり、従ってDream Theaterはメタル界のPrimal Screamである、てな言い方も出来なくはないなあ、と思う。トム・ヨークよりボビー・ギレスピーの方がミーハーなような気もするし。


ついでにもう一つ。
http://www.cnet-ta.ne.jp/k/kepy/diskreviews-new/primalscream/exterminator.html
彼らの傑作「Exterminater」についてはもう語り尽くされていると思うんだけれどもとても面白いというか視点が独特なレビューがあるのでご紹介。

クロスレビュー馬鹿一代

http://www5b.biglobe.ne.jp/~garcia/CROSSREVIEW/
ガルシアの首さんが主宰するクロスレビュー、第二弾はNine Inch Nailsの「With Teeth」であります。不肖杜塚も書かせていただいてるんですが、まあ皆さんそれぞれ拠って立つ場所がバラバラな上に舌鋒鋭い方々ばかりなのでたいへん面白いです。と言う訳で興味のある方は是非是非どうぞ。


フェブラリーステークスで優勝したアドマイヤドンと安藤勝己騎手=東京競馬場


薄味オタクの日常さんより。
笑いが止まらん。