Music/CD感想
前作「Prophecy」は、これまでになくワールド・ミュージックの要素を取り入れた内容だった。ボサノバ、ガムラン、レゲエ、フラメンコ……と言った音楽を凶悪なバンドサウンドの隙間に差し挟み、静と動、聖と俗の対比を描き出していた。それに比べると、本作は(…
小気味よく跳ねながら楽器隊が作り上げるリズムの中にざくざく切り込んでゆくような特異な歌唱法のヴォーカルがこのバンドの特徴であり最大の魅力だったが、それは本作でも変わっていない。曲の構造も音作りも、ヴォーカルの格好良さをいかに伝えるかと言う…
ベース、ドラム、ギター×2と言うオーソドックスな編成(ヴォーカルはなし)から繰り出される音楽性の機軸になっているのはずばりディシプリン・クリムゾン。あの騙し絵的ポリリズムと超絶に変則的かつテクニカルなギターコンビネーションを発展させてより鋭く…
マンチェスターの5人組バンドの2ndアルバム。前作「Effloresce」の段階で極めて独創的な音世界を作り出していたが、今回は更にその世界観が拡大・確立されている。ここまでの密度の濃さ・スケール感を独自の手法で表現出来るバンドと言うのは極めて稀だと思…
開いた口が塞がらないと言うか何と言うか、ちょっとこれはすごい。色々な意味でブチ抜けている。"Nintendo Core"を自称するLAの5人組バンドの2nd、自分が聴くのは初めて。 メタルコアとカオティックハードコアの要素をベースに、ジャンクやノイズ、デスメタ…
非常にいいところを突いている。狙いどころは本当に絶妙だと思う。が、少々物足りなく、食い足りなく感じられるのも、また確かだと思う。3年弱ぶり、5枚目のアルバム。 去年発表されたEP「Trashed,Lost & Strung Out」を聴いた時に感じた変化は、アルバム…
日本の二人組ヘヴィロックプロジェクトの、3年ぶりとなる2ndアルバム。極めてストレートな怒りを日本語詞に乗せて叩きつける荒んだヴォーカル、アメリカのラウドロック〜その源流であるスラッシュメタルの流儀を受け継いだヘヴィで攻撃的なリフワーク、その…
2年ぶり、3枚目のアルバム。静謐の美を極めた前作「Cast of Thousand」より多少動的になっているが、このバンドが持つ本質的な静の部分、あるいは地味さ・淡白な風味は全くもって相変わらずなので、前作までが好きなら文句なく楽しめる内容。であると同時…
先日感想を書いたNobody「And Everything Else……」(感想はこちら)と非常によく似た同心円状のデザインが描かれたジャケットに目を引かれて、CD屋でこのアルバムを手に取った。すると、そこには「include:Nobody Remix」と書かれたステッカーが貼ってあった…
昨年末に活動休止したDownyの置き土産(と言うにはちょっと出るタイミングが遅いが)、50分程のライヴCDと40分ほどのPV+ライヴ映像のDVDの二枚組。 まず、ライヴアルバムについての感想を。昨年の4thアルバムからの曲を中心に、それ以前のアルバムからも代表…
本来今日はDownyのライヴアルバム+DVDを買うという大きな目標があったのだけれども、忌々しい台風のせいで家の外から出られず、買えないのがたいへん腹立たしい。仕方ないので、その代償行為としてDownyが今までに発表した4枚のアルバムを総ざらいする事に…
前回のツアーに帯同し、「Damnation」収録曲のキーボードパート再現を担ったペル・ヴィバリ(Spiritual Beggars)を正式にメンバーに迎え入れ、5人編成となって製作された8枚目のアルバム。結論から言ってしまって問題ないと思うが、これは本当に素晴らしい。…
久下恵生、ラティール・シー、内田直之によるダブバンドの2nd。ドラム/パーカッション/ダブミックス、つまりはリズム楽器しかいない編成。ただひたすらに鋭いリズムが延々と打ち鳴らされ、そのリズムが脳神経をズタズタに切り裂くようなダブ処理を施されて…
元Dry&Heavyのベーシスト、秋本武士とダブクリエイターのGoth-Tradによるユニット、の1stアルバム。Dry&Heavyはともかく、Goth-Tradの方はどんな音なのか未だに聴いた事がないのだけれども、このアルバムは凄まじいまでの気迫が漲る轟音の塊であり、少なく…
南仏、モナコ公国のバンド。そんな国にもヘヴィメタルをやるバンドがいるのか、と言うような感慨はともかく(まあ、ヨーロッパの人から見ると日本人がメタルを聴く事の方がよほど奇異に思われるんだろうけれども)、本作は彼ら2枚目のアルバム。解りやすさ、…
キーボーディストを含む、6人組のスクリーモバンド、2年ぶりの2nd。と言う事だが、これはまた何とも突っ込んだ作風だなあ、と思う。どういう方向に突っ込んでいるかと言うと、とにかくポップな方向に偏っている。それも、思い切り偏っている。 スクリーモ…
シアトルの3人組ロックバンド、本作は2ndアルバムらしいが初めて聴いた。3人編成と言っても、音を聴いた印象では3ピースと言う感じではない。と言うのは、ギターが思い切り重ねられていて3ピースならではの隙間感があまりなく、むしろ音と言う音で空間を…
ほぼ3年ぶりの2ndアルバム。相変わらずと言っていいのかどうか、このバンドが目指す方向性にはひとかけらのブレもない。徹底したスピード感、涙腺を直撃するマイナーでクサ味の非常に強いメロディ。哀愁、疾走。とにかくストレートで直截で、そして速い曲が…
日本のメロディックパンクバンド、2枚目のアルバム。あちこちで絶賛されているのを読んで興味を持ったので、結局発表から一ヵ月半ほど遅れて本作を聴いた。絶賛されるのも頷ける、確かに素晴らしい内容。 メロディックパンクと言ってはみたものの、実際はそ…
スクリーム+エモがScreamoだから、プログレ+エモならばProgremoになる。と言うのはまあ単なる言葉遊びだが、繊細で甘くて明快なメロディとノイジーだがアクのないバンドサウンドを骨格とする「エモ」と呼ばれるバンドたちと共通する音楽的地盤に片足を置き…
ダークでメタリックな鋭さ、痛覚を刺激しかねないほどの冷たさ、それから自分たちの音を客観視しているような一匙の冷静さ。あくまでヘヴィメタルに殉ずる覚悟の程がよく解る、熱気の篭ったパフォーマンス。それらを上手く融合させて、強い存在感のある音に…
これはいい。実に素敵だなあ。何と言うか、本作はそうやってしみじみ頷きながら聴き入りたくなるようなアルバムなのでした。良くも悪くも自分としては珍しいものを聴いているのだけれども、慣れないものを聴く時特有の居心地の悪さは全然感じないし、ちょっ…
OpethやThe Provenanceなどと並べて語られる事が多いため、フォークやゴシックを通奏低音とする北欧ならではの寒々しくてプログレッシヴなデスメタルを演っているバンドだと思っていた。が、実際に聴いてみると、確かにそういうところもあるにはあるがそれ以…
このアルバムについては以前「青くない飛来物」をまだやっていた頃に感想を書いているのだけれども、たいそう素晴らしいアルバムであるので、と言うか久し振りにこれを聴いたらやっぱりべらぼうに格好良かったので、改めて書いてみようと思う。本作は2nd「Be…
元ヌンチャクのヴォーカル、向達郎とOceanlaneのサポートドラマー、嶌田政司が結成したバンド。と言うこのバンドの経歴を聞いても、ヌンチャクとOceanlaneの音楽性に共通するところがないために一体どんな音なのか推測し辛いが、どんな想像をしてもこのバン…
ドラマーが交代してから初の音源(フリーでネット配布されたライヴ音源はあったが)、5曲入りマキシシングル。表題曲は、7拍子の変則的なリズムとエキセントリックだがイヤでも耳に残るリフが印象的。シングル曲として選ばれるのが不可解なほどブチ切れた曲…
スティーヴ・ヴァイにさえも肉薄する北欧の天才兼変態ギタリスト、マティアス・エクルンド率いる3ピースロックバンド。と言った辺りがこのバンドを紹介するのにまずは無難な説明になると思うが、このバンドの認知度が一定の低い水準に留まっているのは、正…
O.S.T.1がバキバキのサイバーでO.S.T.2はジャジーな色合いが強く、と来て本作は生音重視の作り。いかにもなシンセ音は控えめ、ジャズの要素もほぼゼロになっていて弦楽器が前面に出る曲が多いため、クラシカルで凛とした印象を受ける。と言っても、それはア…
ノルウェーのプログレメタルバンドの1st。プログレメタル、と呼ばれるバンドはその殆ど全てが大なり小なりDream Theaterの影響を受けているわけだけれども、このバンドに関してはもう影響が出ているどころではなく完全なフォロワー。1st〜3rdまでのDream The…
ざっくり聴いて受けた印象は、北欧プログレのあの手触り。朴訥でどことなく垢抜けなくて、ソフトで透明感があって、けれども何か根本的なところで自分が慣れ親しんだ音楽の感覚とは異質で得体の知れないところがある。シンフォニックロックの形式を踏んで作…