Zazen Boys/HIMITSU GIRL'S TOP SECRET  (ASIN:B0009S2PII)

ドラマーが交代してから初の音源(フリーでネット配布されたライヴ音源はあったが)、5曲入りマキシシングル。表題曲は、7拍子の変則的なリズムとエキセントリックだがイヤでも耳に残るリフが印象的。シングル曲として選ばれるのが不可解なほどブチ切れた曲だが、奇数拍子でありながらダンサブルではある。曲の途中でリズムのギアが一つ上がる辺りからは聴いていて確かに身体を揺らさずにはいられない、そういう意味ではキャッチー。
#2「Brain Construction」はこれまた7拍子の、何か間違ったファンクみたいな曲。開き直っているとしか思えないひょろひょろしたシンセの音がフックになっている、と言えなくもない。#3「Hentai Terminated」と#4「Hard Liquor」は曲間が殆ど無く、一繋がりのように聞こえる。それぞれ「Maboroshi in My Blood」と「Sekarasika」のリフを再利用したような曲で、「Hentai Terminated」の方は変態変態と連呼する歌詞のバカバカしさが、「Hard Liquor」は本シングル中最もシンプルな8ビートと、リフにハードロックっぽいニュアンスが付け加えられているところが面白い。で、最後の#5「Usodarake Take2」は名前の通り「Usodarake」のリメイク、と言ってもリフが別物に変わっているほとんど違う曲に聞こえる。この曲のリフが一番安心して聴けると言うか真っ当。元曲の軽やかさがうねりのあるヘヴィネスに摩り替わっていて、見事に種類の異なる格好良さを提示できている。
新しいドラマーは前任者に比べて一つ一つの音が低く重く、また音の隙間がみっしり詰まっているような感じ。その違いをしっかり活かしつつ、ますますリフとグルーヴで押してくるスタイルに傾倒しつつあると感じた。その一方で、メロディが無いに等しく、ポップであると言う事からは更に遠ざかる……と言うか、初めてこのシングルで彼らの音を知る人のための取っ掛かりのようなものが無い辺りには、「Zazen Boys II」に続いて少々不安を覚えた。このままどこまでも突き進む姿も無論楽しみだが、もう少しポップに寄ったところがあっても良いのではないか、と言うのもまた正直なところではある。