Acidman/ある証明  (ASIN:B000803FAY)

トリプルA面、と銘打たれた3曲入りマキシシングル。3曲がそれぞれ異なる表情を持ちつつもいずれもじつに彼ららしい曲に仕上がっている、と言うのはいつも通り。
図太いベースラインに硬質でどこかブレイクビーツ的でもあるドラム、トレードマークとも言える水面に浮かんだ波紋のようなギターサウンド、サビの明快なメロディ、曲の中間で現れるノイジー音の壁。と、#1「ある証明」はAcidmanの名刺代わりともなるような一曲。サビに向かうまでのメロディが今ひとつなので代表曲とまでは行かないが、こう言うバンドだと言うのがこれ一曲で解る仕上がり、彼ら一流の王道ロックソングなのだと思う。
#2「Human Traffic」は、醒めたファンクネスをたたえた人力ループのようなリズムの上をヴォーカルの不確かなメロディが漂う浮遊感のある曲だが、サビではジャズっぽい4ビート、後半は四つ打ち、と徐々に曲調が移り変わってゆく曲。トリッキーな部分を前面に押し出したこの曲も、また非常にこのバンドの曲らしく、緩やかに姿を変えて行くリズムやサビの柔らかなメロディがとても心地良い。#3「Sol」はインスト曲。静かに始まって徐々にテンションを上げ、ある地点でノイズの壁が爆発する、と言う轟音ロックのお手本のような曲で、少々型にはまってしまっている面は否めないものの、隙のない作りは流石だと思う。
去年のアルバム「Equal」以来のシングルと言う事もあってか、充実した内容。また、このバンドはアルバムでは色々と実験的なことをやりつつも、シングルにしっかりキャッチーな曲を出して来る辺りに好感が持てる。鋭さと奥行きとを兼ね備えた音像の構築力にはますます磨きがかかっているようで、今後の動きも楽しみに出来る内容だと思う。