ダブセンスマニア/ついておいで  (ASIN:B0007WZWUE)

収録された4曲全てがカヴァー、と言うミニアルバム(ただ、実際はマキシシングル扱いのようだが)。とは言っても元の曲を知っていたのは一曲だけだったし、それに何よりどの曲も見事に彼らの色に染め上げていたので全く新鮮な気持ちで聴けた。
#1「ついておいで」は山下達郎の曲。とてもピースフルで穏やかで優しい仕上がりだが、やはりベースはとてもヘヴィだし、深く澄み切った残響音が飛び交うダブ処理は頭の中を心地良く柔らかくしてくれる。#2「ヴィーナス」はオリジナル・ラヴの曲で、こちらはややダブ度は低めでエレガントなメロディとコーラスラインを最大限活かしている。このバンドは確か7人中4人がヴォーカルも取る編成になっているんだけれども、どの人の声質もとても柔らかくて甘くて素敵。
#3「Energy Flow」は坂本龍一の曲。元曲ではピアノで奏でられる例のフレーズがピアニカで演奏されていて、元曲の清冽でたおやかなイメージが物憂げでサヴダージな色合いに摩り替わっている。4曲中俺が唯一元曲を知っていたものだから、と言うわけでもなくこの曲が一番気に入った。#4「Return to Africa」はゴダイゴの曲だが、これがもう完全にハマっていて、元から彼らの曲であるとしか思えないほどの素晴らしさ。アンニュイでエロティックで、熱帯夜に聴きたいような出来。
元曲がどれも名曲だからと言うのもあるが、全体的に彼らのオリジナルアルバムで聴かせていたルーツ寄りで緊張感のあるダブ/レゲエよりもかなりポップな感じ。これを聴いていると(それほど好きでもないのに)夏が来るのを予感してしまうような、けれどもどんな季節にも合いそうな、素敵な名カヴァー揃い。ダブポップと括られる音が好きな人にはド真ん中だと思うし、そうでなくてもこれはどんな人にも勧められる好シングルだと思う。