短い感想その2:インスト三角

ここ最近聴いたインストものの旧譜三枚の感想を、簡単に書いてみたい。前よりもこういう歌のないアルバムがスムーズに耳に入るようになって来た気がする。


Gordian Knot/Emergence  (ASIN:B00007DXQK)
元Cynicのベーシスト、ショーン・マローンのプロジェクト。同じく元Cynic組やスティーヴ・ハケット、それにビル・ブラッフォード等が参加している。面子が面子なだけに思い切りテクに走った過剰なフュージョンかと思ったらそうではなくて、ヘヴィメタリックな鋭さ重さと不穏さを基調にしつつも奥行きのある空間表現やどこか切なげなメロディもたっぷり含む、情感豊かな曲が揃っていたので驚いた。押し引きの妙をしっかり心得た、かなり聴き応えのある硬質なジャズロックアルバム。超絶的な弾き倒しもそこかしこで聴けるが押し付けがましさは無く、意外と聴く時を選ばないのも良い。



Machine And Synergetic Nuts/Machine And Synergetic Nuts  (ASIN:なし)
2ndを聴いてからこの1stを聴いたんだけれども、よりストレートでライヴ感がある作り。リズム隊の音は2ndよりも生々しくて(特にベースの音はこっちの方が好きな感じ)、演奏の熱が伝わりやすくなっているし、重くて速くて喧しいのでシンプルな格好良さがあると思う。その代わり、メロディのポップさや一曲一曲の表情の豊かさ、曲の練り込み具合は2ndの方が上だと感じた。全体的に勢い任せだが、それがまた一気に突っ切るような感じで聴いていて気持ち良かったりする。#2「Or Lots Of Squares」のバカ騒ぎや、10分ある#5「Time」の変幻自在っぷりが素敵。



ポチャカイテ・マルコ/ポチャカイテ・マルコ  (ASIN:B00005TQCR)
上のMSNと同じく、2ndを聴いてから聴いた1st。本作はリズム隊+ダブルキーボード、2ndはリズム隊+ヴァイオリン+キーボード、なのでやっぱり聴いてみると結構印象が違った。プログレ・ハードと言うかフュージョン的展開が次作より多いが、キーボードの音色やありがちなキメのフレーズが今一つで(特に#6「5th Element」は格好良くないと思う)、聴いていてどうも集中力が途切れがち。音質もややチープ。が、それでもやはり何とも胡散臭くてダークな美意識や奇怪なリズムの変調、何処のものとも知れない民俗音楽の要素、重心を低く保ったまま暗闇の中をひた走るようなスピード感の融合には強く惹かれる。