フジファブリック/銀河  (ASIN:B00074C6HY)

こちらも2曲入りマキシシングル。「冬盤」、と銘打たれている。実は表題曲よりも#2「黒服の人」の方により惹かれたんだけれども、曲順に感想を。
#1「銀河」は、高速ディスコビートのストレートな疾走感と一ひねり効いた展開を併せ持つ曲。澄んだ空気を連想させるキラキラした音作りとスピード感のある曲調の組み合わせは、確かに言われてみれば冬っぽい。メロディは弱めだが、その分はスピード感と踊らせるビート感でカヴァーする、と言う事だろうか。ライヴ映えしそうな、と言う意味ではシングル曲らしい派手さ、華やかさがある。ギターソロの後、オルガン音に導かれてキーが少しずつ上がってゆく部分は、定型的ではあるもののやはりしっかり聴き手を煽る力がある、と思う。
#2「黒服の人」は打って変わってアナログシンセっぽいキーボードの音が主体となる静かな曲調で始まるが、徐々に音が分厚くなり、やがてノイジー音の壁が現れる、と言う曲。キーボードの音色が非常に自分の好みで、なおかつそのキーボード音がヴォーカルと同等以上にメロディを引っ張っている辺りに惹かれるものがあった。後半に出て来るノイジーなパートの中にも、前半と等しい静けさが感じられるのが何とも良い感じ。
このバンドの曲は大概が変化球めいていてどこか捻れているようだが、その捩れ方が何ともストレートな辺りが魅力的だと個人的には思っている。で、このマキシに収められた2曲も正にそんな感じ、エキセントリックになるために考え抜いて作られたような曲調が面白い、と感じた。