短い感想その1:ヴードゥー・ファイアー

ここ1〜2ヶ月くらいの間に買ったり借りたりサルベージしたり注文したりしたアルバムについて、簡単な感想を書いてみたい。メモ書き程度に。



Cathedral/Caravan Beyond Redemption  (ASIN:B000023ZN5)
注文してから長い間待っていたのが最近やっと届いた。このバンドのアルバムの中ではたぶん一番聴きやすい。曲調も割とカラフルでバラエティに富んでいるし、耳を疑うほどポップな曲も幾つかあるし、全体的に真っ当なグルーヴが明快に打ち出されていて、彼らなりのキャッチーさをしっかり追及しているような感じ。映画の一場面をサンプリングしてみたり、鍵盤使ったりと小技も効いている。最終的に行き着くところはやっぱり次元が歪む異様なヘヴィネスなんだけども、何だか陽気な化物が跳梁跋扈しているような賑々しさや不思議な明るさもあって、その辺のバランスが好き。


Orange Goblin/Frequencies From Planet Ten  (ASIN:B00000JBDE)
1st。オルガンやらビブラフォンやらを使ってサイケデリックで呪術的なムードを醸し出しているのは本作のみ。そう言った装飾の部分や、妙にナイーヴなメロディ遣いに見てとれる英国っぽいさは美味しいんだけれども、速いシャッフルのリズムがやたら多いのとグルーヴに腰が入ってなくてちょっと軽いように感じられるところがあって、旨みとか凄みはこのアルバムではまだ出切ってない、と言った印象。バンド名そのままの#8「Orange Goblin」が一番好き。この時点では正しくゴブリンと言った風情なんだけども、この後だんだんオレンジオーガーになったりオレンジトロールになったりと進化してゆくその起源みたいなのは、確かに感じられる。


Nebula/Charged  (ASIN:B00005NO9N)
なんにも考えてなさそうな風情で突っ走ったりブルージーに泣いたりビール飲んだりするだめな人ロック。砂を噛んだようにじゃりじゃりしたファズギターと、ゴツいリズム隊の絡みが格好良過ぎるんだけども、ただ格好良いんじゃなくてサイケがかった曲調が心底ヘロヘロなのがすごく好み。一音一音はドスが効いてるのにえらくルーズなイメージがどの曲にもめいっぱい詰め込まれていて、日がな一日酒を煽りながら荒野を爆走する男が主人公の、アメリカ産B級ロードムービーみたいな感じ。#4「Travelin' Man's Blues」とか#6「This One」とか本当に良い。


The Mushroom River Band/Simsalabim  (ASIN:B000060NN8)
元Spiritual Beggarsのスパイスさんが正ヴォーカルになった2nd。ルーズなところやズブズブ沈み込んでいくところが1stからばっさり切り落とされていて、ひたすら爆走するブルータルなヘヴィロックンロールになっている。どろどろと渦を巻くサイケでマジカルなところもちょっと残しておいて欲しかったとも思うけれども、これはこれで全く問題ないしすごく格好良い。と言うか、全体的にリフもメロディもすごく良く出来ている。バンドサウンドの強度やスリルも十分だし、短くてさっくり聴き終わるからその分リピート率も高い。いいアルバムです。



ドゥーム/ストーナーと言う言葉の下でいっしょくたにされる事が少なくない(気がする)バンド達なんだけれども、当たり前だがそれぞれ個性があって、しかもその個性と言うのがどれもアクが強いものなのでこうやって感想を書きながら聴き比べてみるとすごく面白い。