The Back Horn/コバルトブルー  (ASIN:B0002ZF0WQ)

3曲入りシングル。表題曲#1は、極めてヘヴィメタリックなギターリフを骨格に組み上げられた疾走感に溢れる曲。性急なビートやザラザラジャキジャキとしたギターの音には、前のシングル「夢の花」(感想はこちら)のカップリング曲には足りなかった攻撃性が戻って来ているように感じられた。ただ、そうは言っても、やはり以前の曲に満ちていた追い立てられるような焦燥感は幾分目減りしていると思う。また、彼らのシングルとしてはメロディがやや弱い気がするが、その分だけギターが奏でるリフ・フレーズが非常に印象的で、割と一本調子に突っ走る前のめりなリズムとギターとががっちり噛み合ってグイグイと身体が前へ前へと引き込まれるような魅力がある、と思う。ライヴでのハイライトとなりそうな曲。
#2「白い日記帳」は、タンゴのリズムと80年代マイナー歌謡アイドルの曲みたいなメロディを持つ曲。こういうベタベタな造りの曲をタイトなバンドサウンドと声の魅力で格好良く仕上げてしまうのは、異端かつ正統な日本のロックバンドである彼らの十八番なのだと思う。#3「カラビンガ」は、ちょっとひねりが入ったダークなリフを使ったヘヴィな曲。妙にサイケデリックな曲調や「揺蕩う 煙を吐いて/桃色 染まる桃源郷」と言った歌詞には退廃的・逃避的な色合いが濃く、ひょっとしたら何か行き詰まっているのだろうかと聴いていて思わされるものの、曲自体は面白いし非常に良く出来ている。
どの曲も相変わらず格好良い。「イキルサイノウ」〜「夢の花」で見せた余裕や穏やかな表情から離れ、再び鋭さを取り戻そうとしているのも感じられた。現実逃避して内に篭っているような「カラビンガ」には少々疑問を感じるが、次のシングルもしくはフルアルバムも楽しみに待てるだけの3曲だと思う。


ちなみに。
「カラビンガ」と言うのはどうも迦陵頻伽の事のようだが、ついこの間数年ぶりにClampとか聖伝とかの話をしていたところだったのでちょっと驚いた。それにしてもこの曲は特撮っぽい……と言うか特撮を通り越して筋少っぽい。