DRAGONFORCE/Sonic Firestorm (ASIN:B0001FAE7S)

速ッ! とにかく速い。本当に笑ってしまうほど速い。って感想しか一聴した時には思いつかなかった。スピードメタルって言葉がこれ以上なく似合うと言うかスピード・メタルそのもの。恐ろしい速さで切り刻まれるギターとかブラストビートは、なんか演劇の活劇シーンでストロボライトがバチバチと点滅してスピード感を無理矢理増幅させてるのを連想させる。で、ただ速いってだけなら飽きも来るしダレるんだけど、メタル特有の湿っぽさが希薄でひたすらアッパーに盛り上げるメロディは結構ぐっと来るものがあるし、曲展開の緩急にもある程度気を配っていて一気に聴かされてしまう。ちょっとエキセントリックなセンスで、まだ終わらないのか? って思うくらいどんどん加速していくギターソロもいいし。速さを武器にしている割には曲が長いのがガンで、もうちょっとコンパクトに纏めた方がより高威力(威力って言い方も変だが、アルバムタイトルがこんなだから)になるような気もするけども。あとキーボードの安っぽい音ももう少しどうにかした方が良さそうだが、まあこの辺は伸びしろと思えばいいか。
このアルバムを聴いて一番格好良くて潔いと思ったところは、そう言う一つ一つの要素全てが「速さを更に際立たせたり、体感速度を維持したり加速させたりする」って方向にはっきり向いてるところ。テンポがただ速いだけじゃなくて、その速さを最大限魅力的に見せる曲造りがなされてるのがいい。一曲バラードを挟む以外は全部速い曲ってのも強烈な自己主張が見える。そのトチ狂ったかのようなスピードとアッパーなメロディに際限なく高揚させられる、見事にエクストリームなヘヴィメタルアルバム。あちこちで同じような事が既に書かれてると思うけど、これを聴いている間は「速ければ何でもいいのか?」って質問にそれでいいと答えてしまうと思うし、どれも似たような曲なんだけどそんなのこの速さの前ではどうでも良くなって来る、と言う一種のドラッグミュージック。意識が覚醒します。もう何回この文章の中で「速」って文字を使ったか解らない。
なんかあんまり前に書いてたのと変わらんな。まあいいか。気分的には楽だし。