本の話を幾つか

本屋で、よしながふみ「愛がなくても喰ってゆけます」(ISBN:4872339363)を立ち読みした。へもさんのところで見かけて何とはなしに気になっていたものなので、ちょっと時間をかけて読む(すぐ買わない辺りは自分でもどうかと思うが)。確かに載っている食べ物はどれもこれも美味そう。料理系のマンガとかテレビ番組とかは、美味そうであれば美味そうであるほど自分でそれを食えないってジレンマが募るんだよなあ、などと当たり前過ぎる事をぼんやり考えながら立ち読みしていたんだけれども、読んでしばらくしてこの人の絵をどこかで見たこと事があるのに気付いた。絵だけでなくて、よしながふみって名前も別のところで確かに見た気がする。んーーーーー、どこだっけか…………としばらく首を捻っていたら唐突に思い出した。これ「西洋骨董洋菓子店」の人か。なるほど、確かにあのマンガも出て来る菓子はどれもえらく美味そうだったっけか。読んだのは確かもう3年ほど前だったと思うんだけども、軽妙な語り口とラストの綺麗さがすごく良いと思ったんだった。結局立ち読みした「愛がなくても〜」は買わなかったが、やっぱり買っても良かったかもしれない。でも買うと食べたくなると言う悪循環。
ところで、西洋骨董洋菓子店って字面を見ると怪奇骨董音楽箱(実は、日記のタイトルをこれにしようかと思った事があった)を思い出すのは俺だけでしょうか。


「A君(17)の戦争」8巻(ISBN:4829116994)がいきなり(いやまあちゃんとチェックしていなかった俺が悪いんですが)出ていて、しかも1〜7巻までが全部イラスト変えて新装版になっていて驚いてしまった。とりあえず8巻を買って帰ってから、1〜6巻までは全て一度売ってしまっていた事を思い出す。これはもう一度買えって事ですか。何となく、A君は途中で頓挫しそうだと思っていたから売ってしまったんだよな……やっぱり全部買い直すべきか。
とっくに言い尽くされている事だとは思うけれども、「A君」はライトノベルでは軽視もしくは無視されがちな考え、「男とは……」だとか「力」の意味だと言うような男根主義的な価値観、あるいは国家や故郷に対する愛情や愛国心、そう言ったものを何とか異世界召喚モノや戦争と言う器でもってライトノベル読む人、特に中高生に解りやすく提示しようとしている。その姿勢自体はすごく面白いし、フェミニンな方向に寄り過ぎているライトノベル的な空気では見過ごされている大事な価値観を示そうと作者自身が四苦八苦しているのも好感が持てるんだけれども、その一方で地の文で作者がでしゃばり過ぎて、本当に必要なのか解らない薀蓄でページが埋まっていたり、余計なディスや皮肉が多過ぎて説得力を減じてしまっている面もあって、読んでいて何とも微妙な気持ちになる事が多かったが、8巻はそういうのがあまりなくてストレートに読めた。この人のもう一つのシリーズ「デビル17」はちょっと付いていけないが、こっちはやっぱり面白い。


それから。「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」(ISBN: 4829162767)を買おうと思ったが、見当たらなかったのでやめた。痛い話を読むのはもういい加減いいかなあと思ったりするんだけども、あちこちでこの本の書評を読んで惹かれるものはあって、正直読むとしんどい気持ちになりそうだとは思いつつも読んでみたいと思う。今度また探そう……しかし、3軒ほど回って何処にも無いってのはどう言う事なのか。