ピーコ

知り合いとラーメン屋に行った時の話。
ひとしきりメニューを睨んでから、俺はチーコ(鶏)ちんめんを、知り合いはパーコ(豚)ちんめんを食べる事に決めた(ちんめんってのは、その店でのラーメンの名前)。近寄ってきた店員のおばちゃんに注文を告げると、彼女はにこにこと「ああ、チーコパーコね」と復唱してから、大声で厨房に向かって「チーコ1、パーコ1−!」と注文を伝えた。
そのおばちゃんは、俺が座った席の真後ろの二人連れがチーコちんめんとパーコちんめんを頼んだ時も、やはり同じように「ああ、チーコパーコね」と復唱してから「チーコ1、パーコ1−!」と叫んでいた。このメニューは人気があるのか、店に居る間中、チーコとかパーコとかって言葉があちこちからしょっちゅう聞こえた。
……。
チーコパーコ。無駄に語呂が良い。そのせいで、聞いていたら何だか自分が一昔前の三流漫才師になったような気分になった。
ラメのスーツを着て、舞台袖から走って出て来て、足をもつれさせてコケるのがお約束の杜塚チーコ1(32)。そういう役回りが眼に浮かぶ。
想像してみたら違和感が全く無かった。哀しい。