月のたまご

夜遅くの帰り道、真円に近い綺麗な月がよく見えた。満月か、それに近い月齢の月を見るとたまに思い出すやりとりがある。
「いい月ですね」
「あれは街灯ですわ」
子供の頃に読んだ「クレヨン王国 月のたまご」中のナルマニマニ博士とダマーニナの会話だが、何故か妙に印象に残っている(細かい文面は違った気もする。ちなみに、失態を演じたナルマニマニ博士はこの後とても落ち込む)。全8巻のこの話はクレヨン王国シリーズの中でも特に好きだったもので、今読んでもきっと楽しめると思う……と言うか、今読んでも楽しめるものだからこそ、時々思い出すのかも知れない。
この話に出てくる台詞で印象深かったもの、もう一つ。
「世の中には、いてほしい人と、いてほしくない人のどちらかしかいないのだよ。いてもいなくてもいい、なんて人はいない。君も政治家をこころざすならよく覚えておきたまえ」(ダガー書記官長の言葉。やはり細かい文面の記憶は曖昧)
月を仰いだり背負ったりしながら自転車を漕いで帰った。