続・着物

昼に弁当を買いに出たら、俺の数歩前に着物を着た人が歩いていたんで見るとはなしにその人を見ていたんだけども、彼女は着物に慣れていない様子で歩き方がどうもスムーズでなかった。着物を着て歩く時は左右の足運びをなるたけ一直線上に持って来るようするのが基本(だと思うん)だが、彼女にはそういう意識が無いようで、普通に洋服着た時のように横の歩幅を取って歩いている。ああいう歩き方だとせっかくの腰周りの線が今一つ綺麗に出んなあ、と思いつつ、一緒に弁当を買って隣で歩いていた人にその話をすると、
「杜塚君って、いつもそういうところ見てるんですか?」
って聞かれた。真顔で。
いや足運びに目が行くのは前に居合やってたからだしそれに俺も一応文章を書いたりする人間の端くれの出涸らしとして他人のそういう仕草に目を配る事がこう何と言うか文章を書く時の肥やしにもなればヒントにもなるんじゃないかと思っているからなるたけ特に外を歩いている時は色々なものを見ようとしているんですよあはは。みたいな言い訳、いや釈明がざらざらと思い浮かぶが、上手い事言葉にすることが出来ず、何だか俺が脚とか腰とかに優先的に目が行く人だと言う印象だけが残ってしまった気がしてえらく落ち込んだ。
……と、言うような話を昨日の日記を読み返していたら思い出してしまい、二重にブルーな気分になる。