因果応報 (白)(白)(2)

自転車の調子がここのところ悪い。乗っているとガタガタと振動が来る。どうも後輪がパンクしているらしい……と言うか、どうも〜らしい、などと推測するまでもなく明らかにパンクしている。これ以上そのままにして乗っているとそのうち怪我をしそうなので、朝の行き掛けに近所の自転車屋に寄って修理してもらう事にした。パンクの修理代は大体1000円強くらいだったか。
で。
「あ、これはもうチューブ自体がダメですねー」
「はあ」
「チューブ交換で、4500円になります。よろしいですか?」
よろしくありません。4500円払うくらいならCDを2枚買います、さようなら。
……とはまさか言えない。余りに痛い出費だが、自転車が使えないと駅までの往復にバスを使うハメになって、かえって金が掛かってしまう。仕方が無いので、内心の動揺を抑えつつ無言で自転車屋の兄ちゃんに頷いてみせた。
この自転車は、去年の夏に以前使っていた自転車が盗られてしまって仕方無く買い直したものだ。盗られたものを買い直すのに金を使う、と言うのがバカらしかったので、9800円くらいの一番安い奴を選んだ。だから、チューブの交換費用は自転車本体の値段のおよそ半分。半分か……安物買いの銭失いとは正しくこの事だと思う。もっと高いのにしておけばこんな事にはならなかったのに、などとげんなりした気分で考えていたら、自転車屋の兄ちゃんがえらく気楽な口調でこう言った。
「チューブが焼き切れそうになってますね。タイヤにちゃんと空気を定期的に入れてやらないと、すぐこうなっちゃうんですよねー。前輪もあとちょっとでチューブ交換しないといけなくなると思いますよ」
……。
ヌガァァァァァァ(銀歯が取れそうな感じ)