MUSE@2/13、Zepp Fukuoka

もうちょっと近くで観ようと欲張って前に行ったら、モッシュの嵐の中にいた。何時の間にか。いやそれはそれで楽しかったんだけども、体力が付いて行かずに最後の方でちょっとキツくなって、もう年だなあと思いました。あと、前の方はどんな曲でもノリ方が一緒だし……もうちょっと後ろの方でゆっくり観れば良かったかも知れん。
まあそれはそれとして、「Apocalypse Please」〜「Hysteria」〜「New Born」〜「Thoughts Of A Dying Atheist」って言う反則じみたオープニングから始まったライヴ、とにかく凄まじかった。観た人の多くがそう思うらしくてあちこちのライヴレポに書いてある事だけれども、音が半端でなく分厚い上に安定感も抜群で、とても3人でやってるとは思えない(幾つかのシーケンスフレーズは3人以外の誰かがコントロールしていたっぽいが)。特にクリスのベースが凄くて、マシューがピアノ弾いてる時も「あれ、今ギターの音って鳴ってないんだっけか?」と思ってしまうくらい太くてデカくてがっちりした音を出していた。特に大きなアクションも無く、ただただ弾いてるだけって感じの立ち姿も、何と言うかベーシストっぽい格好良さがあったと思う。ドラムは、重厚で強かなグルーヴもさることながら、ギターと連動してオーケストラのように曲を盛り上げるシンバル遣いがすごく印象的。で、マシューは……この人なんでもありだなあ、て感じ。リズム隊の二人が作る堅固でしなやかなリズムの上でやりたい放題。声はアルバム以上に伸びるし、ギターはほとんどネオクラな速弾きやノイジーで捻れたフレーズを弾きまくり(スタジオ盤はライヴの演出を睨んでワザと手数を少なくしてたんじゃなかろうかと思ったくらい)だし、ピアノも耽美なフレーズからゴリ押しプログレまで自由自在だし。ラウドなリズム隊の上でピアノが乱舞するってスタイルの異質さがライヴだとアルバム以上に際立っていて、中でも「Space Dementia」の今にもキーボードにナイフ突き立てんばかりの暴力的なプレイは恐ろしく格好良かった。
やった曲は「Absolution」を中心に旧譜からも幾つか、と言った感じで、ほぼベストな選曲だったと思う。今回の日本ツアーではどこでもやっていないらしい「Microcuts」が聴けなかったのがちょっと残念だったが、それ以外は聴きたい曲があらかた聴けて満足。本編ラストの「Plag In Baby」からアンコールの「Dead Star」〜「Stockholm Syndrome」って流れも最高だったし。正直、凄過ぎたのと前に行き過ぎてピンボール状態になってたのとで一曲毎の感想とかあんまり覚えてなくて、めちゃめちゃ格好良くて音がデカくて鋭かったと言う鮮烈な印象だけが頭の中でぐるぐるしてるんだけれども、覚えている中で一番凄かったのはギターソロが付け加えられてますますプログレッシヴになった「Butterflies And Hurricanes」。元々すごく劇的な曲だがライヴで聴くとスケール感が桁違いで、ただただ圧倒された。
型破りなんだけど土台にはすごくしっかりしたものがあって、破天荒なんだけど全然隙が無い。MUSEは確かに異端の魅力をバラ撒くのにも長けていたが、それ以上に真っ当で真摯なロックバンドだった。良いライヴでした。
今日は首を振るスペースが無かったので首はそう痛まないが、代わりに脚の付け根が明日の朝辺り酷い事になってそうな気がする。