DEVIN TOWNSEND

久しぶりに「Infinity」からのシングル「Christeen +4demos」を引っ張り出して聴いた。デヴィンのアルバムはパンキー・ブリュースターも含めてどれも好きなんだけれども、その中でも「Infinity」は特に好きな一枚。「City」や「Terria」も勿論凄いアルバムだが、デヴィンの特異性と魅力が最もよく現れているのはやはり「Infinity」だと思っているので。ヘヴィメタル/ヘヴィロックを下敷きにしてこういう神経を病んでいるような音を作る人は他にいない。で、その「Infinity」のアウトテイクが4曲この「Christeen +4demos」に入っているんだけども、何故これがデモとされているのか全く解らない完成度でめちゃめちゃ聴き応えがある。メロディはキャッチーなのに全体の印象は全然ポップでないウォール・オブ・サウンドで、特に「om」の本気でどこか別の世界見えてそうな音は尋常でない。あまり他のアーティストに喩えるのは好きではないけれども、ANDREW W.K.APHEX TWINマイブラを強引に足したような感じ、に近いものがある。それと、SPIRITUALIZEDの「宇宙遊泳」を連想させる孤独感。何にせよ、聴いていてとにかく疲れてしまう種類の音だが、果てしなく綺麗だしどこまでも格好良い。「Infinity」と「Christeen +4demos」には、何度でも聴きたくなるような中毒性と、聴いてるとどこかに持って行かれそうになる感覚が確かにあって、やはり化け物じみたアルバムだと改めて思う。
ところで、この人っていかにもロキノン的な「ロックの物語」の主人公役にぴったりのパーソナリティと属性を持っている気がする。その時その時で自分の内面が色濃く反映されたアルバムを作っているので話が作りやすいし、いずれのアルバムも「ロックとは妄想の産物である」と言う時候の挨拶のような常套句にちゃんと合っている。特に、「Infinity」及び「Christeen +4demos」は同時代性を軸に解釈出来そうな欝感覚・閉塞感と強烈な記名性を持つ非常にパーソナルなアルバムなので、色々とそれ系の文章のネタにしやすいと思うが、別にそっち方面から注目されたりはしなかったようで(されなくて良かったとは思う)、やはりメタルの人って事でスルーされてたんだろうか。