Syrup16g/My Song

#5「テイレベル」以外はゆったりしたテンポと隙間の多いバンドサウンドで歌をじっくり聴かせる曲で、そのいずれも恐ろしくメロディが良い。このバンドのメロディには割と手癖で書いているような印象を受ける事が多いが、それなのに一曲毎の表情が驚くほど鮮やかに違っていて、一つずつのフレーズに篭められた情感が豊かで、そして優しくて美しい。一応#1「My Song」が表題曲になってはいるが、その他の4曲いずれもがシングルになってもおかしくないような出来。
で、そのメロディに乗っている歌詞がこれまで以上に酷い。根源的なレベルで意識に染み付いた諦念、「今は最低だと思ってたけど本当は今が最高でこれ以上良くなりようがない」と言った世界観が呆れるほど素っ気無く、そして力無く吐き出される様は、本当にどうしようもなく終わっている。ユーモアや攻撃性がほぼ取り払われている分、無力感や虚無感がそのまま迫って来る感じ。
メロディと歌詞を分けて聴く事がほぼ不可能(言葉を乗せるのがすごく巧みなので)で、聴くほどに嫌でも歌詞の内容が頭に刷り込まれる、逃げ場の無い仕組み。これはキツい。本当に良い曲で、そしてバンドサウンドが骨太でがっちりしているだけにキツい。



ここ2日で買ったもの。
ZAZEN BOYSZazen boys ……「Num-Heavymetallic」の路線を一部で引き継ぎつつもやはり別物、パンクでファンクで念仏でプログレ。ポップでなく、掴み所も無い音なので、しばらく聴き込まないと味が出て来ない感じ。何となく、ディシプリンを連想する。
ICED EARTH/Glorious Burden ……純度100%ヘヴィメタル。神。ZAZEN BOYSが上記のような音だったので、一緒に買ったこちらの堂々とメタルの信念を貫く様が余計熱く格好良く聴こえる。ただ、厚みに欠けるサウンドプロダクションはかなり疑問。
どちらも、しばらくしてから感想を書くつもり。