価値100円

ダイソーに買い物に行った。何時行ってもそうだが、あそこは何がどこにあるのかが非常に解り辛く、目当てのものを探し出すのに苦労する。店員の人に聞いても、品物がしょっちゅう入れ替わっているからちゃんと答えてもらえない事が多くて困るし。暖房が効き過ぎているのがまた良くなく、不自然に暑い店内を歩き回っていると、段々ウィザードリィで夜を明かしてしまった後のように朦朧として来る。あれは、ひょっとして意識を混濁させてワケも解らないうちにものを買わせようとする魂胆なのか。その計略にまんまと乗せられた俺は、ふらふらと吸い寄せられるように麦チョコを買ってしまった(美味かった)。


そのダイソーで半ばグロッキー状態になりつつ買うものを探してうろついている時にすれ違った、いかにもギャル風な女の子がヤバかった。何がヤバかったかって言うと、恐ろしくヒールの高いブーツが。自分の平衡感覚の限度を超えた高さの靴を履いているせいで、歩く時に膝が伸び切らずに折れ曲がってしまっている人は良く見るし、それはそれで見目が良くないとは思うが、今日見かけた彼女は見目の良し悪し以前の問題としてヒールの底を床に水平に下ろせていなかった。で、ヒールの底と床の角度が合わないから、おおよそ五歩に二歩の割合で踏み出した時に膝がぐにゃりと横方向に砕けそうになっている。あれ、絶対その内捻挫すると思うんだが……今にも脚を捻りそうなその歩き方が怖くて見ていられなかった。いや、見ていられなかったというのは嘘で、怖いもの見たさ+わりかし美人だったのでなんとなく見ていたんだけども、彼女自身はその歩き方がごく当然であるかのようにかくかくとバランスを崩しながらも売り場を去り、エスカレーターに乗って上の階へ登っていった。俺は、何となく誰でも当たり前に知っている事を自分だけ知らなくて取り残された、とでも言うような気分になったが、あまり深く考えない事にして、それこそダンジョンのようにやたら広くて入り組んでいる売り場で探し物を続けた。
ちなみに、今日探していたのはスケッチブックと布団を干すための安全ピンだったんだが、後者は結局いくら探しても見付からなかった。やれやれ。