「おトイレって言い方、外来語に「お」を付けてて明らかにおかしいって思うんだよ」
「そうかな。結構そういう言い方が出来るものってあるし、おかしいとまでは言えない気がする」
「お+外来語って、おトイレの他にある?例えば?」
「色々ある。例えば、そう、お……」
「お?」
「……おフランス
「…………」
 ここで挫けては負けなので、何とか強行突破を試みる。
「ええと、ほら、楽器の名前とかに「お」を付ける事があるんよ。上流階級テイストな語法と言うか」
「ふうん。例えば?」
「色々ある。例えば、そう、お……」
「お?」
「……おチェロ」
「へえ。それから?」
「……おリコーダー」
「…………」
 これ以上強弁するのはいくらなんでも無理。もっと利口に生まれたかった。