言語以前

朝、駅の近くを自転車で走っていた時に一人の男とすれ違った。
駅の方から歩いて来たので徹夜で飲んでたか何かしてた帰りではないかと思われるその男は、年のころなら俺より幾つか上で20台半ば、小太りの体形にスタジャン引っ掛けて髪の毛はぼさぼさ、全体として冴えない格好だったのだけれども、眼鏡をずらして眠そうに目をこすりながらぽつぽつと歩く様が何故か格好良く感じられた。
後から思い返してみても、今こうやって文章を書きながら思い出してみても、何故あれが格好良かったのかは解らないが、とにかく妙に印象に残った。そういう事はたまにある。