タコ物語

(1).俺は大分から福岡へと向かう特急電車の車中に居た。ちょうど電車は別府を過ぎてしばらくした辺り、右側に別府湾を臨んで走っているところ。
床一面に、タコの群れが整然と並んでいた。そしてタコはいっぱいに開かれた窓から別府湾の真っ青な海に向かって次々とジャンプしてゆく。ちょうどそれはロケット噴射のような、あるいは海の方に強力な磁力か何かで吸い付けられるようなものすごい勢いだった。床を見事に埋め尽くしていたタコはどんどん減っていくが、車両後部のドアが開きそこから次々と新しいタコたちがずるずるとやって来ては、再びジャンプしてゆく。ああ、奴らも海に還っていくんだなあ。何考えてるか解らない目をしてるけど嬉しいんだろうか。でもちょっと、いやかなりキモいな。
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(2).今、俺は所用を済ませに大分の実家にいます。
ここ数日顎鬚を伸ばしていたんだけれども色々言われそうなので(似合わないとか似合わないとか似合わないとか。正直自分でもどうなのかと思わなくもない)今朝方剃って、福岡から大分へ向かう特急電車に乗りました。沢山雨が降っていて、別府湾の海は辛気臭い色をしていました。
大分駅に着き、迎えに来てくれた両親の車に乗って家まで戻りました。途中で夕飯の支度をするためデパートに寄りました。サラダの具材にするため生タコを買いました。タコ売り場ではタコがうにょうにょしていました。
実家に帰り着いた俺は、ちょっと疲れたのでうとうとと眠りこけてしまいました。
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(3).そういう夢を見た。