2005年上半期ベスト

もう7月ですか。と言う訳で、6月までの半年間で、特に良かった5枚を挙げます。


1.犬式/Life is Beatful  →感想
2.Porcupine Tree/Deadwing  →感想
3.System of a Down/Mezmerize  →感想
4.ゆらゆら帝国/Sweet Spot  →感想
5.Soilwork/Stabbing the Drama  →感想


犬式については、これはもう本当に一生もののアルバムだと思う。レゲエを軸としつつも全く型破りで、雑然ととっ散らかった音楽性の中心を図太く貫く芯の強さにやられた。これまでのシングルやミニアルバムも良かったけれども、フルアルバムだからって事なのか一枚の作品としての完成度と言うか風格が段違いだったと思うこれからもずっと聴きます。Porcupine Treeは、勿論この新譜も押し引きの妙を知り尽くした老練さと醒めた表情、渦を巻くバンドアンサンブルのダイナミズムが素晴らしかったんだけれども、あまりに自分にとってツボなこのバンドを知ったと言う事自体が今年の上半期でとても大きかった。揃えられるだけの旧譜をすごい勢いで揃えたからなあ。
SOADは、共通点の多い音楽性であるThe Mars Volta(こっちも本当に凄いアルバムだと思う)が10分くらいかけてやる事をあっさり3分間ポップスにしてしまう、と言う幾らなんでもあんまりな充実っぷり。ここまで凄いともう笑うしかないです。ゆらゆら帝国は過去のどのアルバムより気に入った、と言うかこれ聴いて旧譜をちゃんと聴かないとと言う気になった。再生すると、得体の知れない何かがずるずるとスピーカーから這い出て来るようなキモさと痺れる程の格好良さが同居するアルバムだった。Soilworkについては、このアルバムをよしとしない人も多く、今までのような先鋭性がちょっと後退していたので俺自身も諸手を挙げて全肯定出来るアルバムとは思わなかったんだけれども、それでも裂帛の気迫を篭めて鍛えに鍛え上げられた良いアルバムだったし、今年聴いた中でも特に印象深いものだった。



他にも、何だかこの半年はいいアルバムが本当に多かった気がする。似たようなところからスタートして今は全然別の音楽性になったQueens of the Stone AgeとSpiritual Beggarsはそれぞれ充実したアルバムを出した(特に後者。事前の期待度が低かっただけに嬉しかった)し、メロデスメタルコア勢ではDark Tranquillityがキャリアを総括するような佳作を作り、Scar Symmetry、Mors Principium Est、The Agony Sceneの三組はフォロワーの集団の中から一歩も二歩も先んじる力作を作ってきたと思う。今一番エッジィで格好良い音を独自のセンスで拾い上げたGospel、驚くほど完成度が高く、一部でエモ三部作とか言われてたMae、CopelandWaking Ashland、歌えるストーナーエモと言うかもう普通に格好良いロックンロールだったOpen Hand、かつて先鋭的だったアーティストだけが作り得るポップアルバムとしての傑作だったNew OrderにNIN、SAODやThe Mars VoltaSoulflyと比べても全く見劣りのしない「血」の濃さを見せ付けたSilent Stream of Godless Elegy、超攻撃的なジャズロックだったMachine And The Synergetic Nuts、誰にでも響くピアニカとエレクトロニカの融合が心地良かったあらかじめ決められた恋人たちへ、ここに来て以前のバランス感覚を思い出したかのようなDream Theater、前作のポップ職人ぶりから一転してぶっといグルーヴを吐き出しまくるライヴ感ありすぎなミニアルバムを出してきたScoobie Do、気が付くと2000年代を代表するバンドにまでなりそうな勢いになっていたColdplay、ベスト5には選ばなかったが新譜も全く良い意味でThe Back HornだったThe Back Horn、3枚目にして一気にスケール感が上がって風格が出てきたDovesなどなど……挙げればキリがない。残り半年も良い音楽に出会えますように。