私たち、普通の公務員に戻ります

専門学校で知り合った人と飲んでいた時に、職歴についての面白い話を聞いた。
その人は、一度東京で公務員として働いていたのに退職して実家の福岡に戻って来て、そしてもう一度公務員になるために勉強をしているのだ、と言う。何故前の職場を辞めたのか聞けば、彼女は、「普通の公務員になりたくて」と答えた。普通でない公務員をやっていたのか、だとすればそれはどんな仕事なのか、と更に聞いてみると、
「自分の家に帰ってもシャワーを浴びて寝るだけの生活だったし、張り込みとかキツかったし危なかったし、それに武道とか射撃とかの訓練しないといけなかったし……」
と言うような答えが返って来た。うん、確かにそれは普通の公務員じゃないですね。ていうかさらっと流してたけど最後のその射撃訓練ってのは何だ。
結局どこに勤めていたのかちゃんと教えてはくれなかったし、酒が回っていて微妙に喋りが壊れ気味だったやり取りの細かいところは省略するが、彼女の話を総合すると「警官でも公安でもなく、自衛官でも海保でもない。検察でもない。法務省関係」らしい。
射撃訓練と言うからには銃を携行する事もあるところなのだろうが、上に挙げた部局や、種々の警備関係(皇室警護とか、議院の警備員とか)以外で銃を持つのが許されるところと言うのはあまり無いんじゃないだろうか。真っ先に思いつくのは麻取だが、あれは厚労省だしなあ……内調は勿論法務省の管轄ではないし、銃を持てるのかどうか解らない(と言うか、ここの名前を思いつく時点でフィクションの読み過ぎなのではないかと言う気がする。隣のお姉さんは諜報員、みたいな)。と言う事でちょっと調べてみたら、条件に当てはまりそうなのは入国警備官くらいしか見当たらない。特殊だ。試験も研修も勿論実際の仕事も、めちゃめちゃハードだと思う。
俺よりも幾つか年上だと言う彼女は、それこそ司書か事務とかをやっていそうな雰囲気で、そんな仕事に就いていたようには、或いはそもそもそんな職場を希望したようにはあまり見えなかった。何と言うか……試験、受かるといいですね。ほんとに。