The Music@Zepp Fukuoka、1/15

Zeppに来るのは去年2月のMuse以来だから、おおよそ一年振りになる。
整理番号は1117番と遅かったが、前列右端でベースの正面と言うまあまあ良い場所に陣取る事が出来た。例によって一人だったので開演までの暇を紛らわすために周りを見ていたが、男女比はおおよそ半々くらいか。思っていたよりも男が、それもガタイのいいのが多かったように思う。だからなのかどうかは解らないが、前列はとにかく終始ジャンプしていた人が沢山いた。ジャンプでは乗り切れないリズムも多かったと思うが……。もともと遅めだったアルバムでの演奏よりテンポが更に落ち、よりヘヴィになった「One Way In, No Way Out」で、どうやって身体を動かせば良いか戸惑っていた人が周りに多かったのが妙に印象的。そういう時はヘッドバンギングすると良いと思います。まあ、それはともあれ。
定刻からやや遅れて客電が落ち、まずは新譜のタイトルトラック「Welcome To North」、次は1stから「The Truth Is No Words」、更に「Freedom Fighter」「Cessation」と続く……が、ライヴ序盤はどうも今一つ。ヴォーカルは声が出しきれていなくてサビはフェイクが多かったし、バンドサウンドも個々の音にはパワーを感じても一体感が無かった。また、俺の位置取りがまずかったせいもあるのかもしれないが、音の分離が悪くて身体を揺らしながら聴いていても曲に入って行けないところがあった。状態が悪いのか、それともいつもこんな感じなのか。何にせよ、ずっとこんな調子だと正直厳しいものがあるなと思っていたけれども、5曲ほど終わった辺りから徐々に音がまとまって来て、それ以降は各人が出す声や音ががっちり噛み合って気持ち良く踊れた。
新譜にあった整合感が押し出されたライヴになるのだろうかと事前は思っていたが、バンド本来の力が現れて来た中盤以降も音源のようにかっちりとした印象は皆無で、ひたすら勢いに任せて前のめりにグルーヴを叩き出し、凶暴かつ煌びやかな音の奔流を吐き出し続けていると言った感じの演奏だった。ただ、きちんとメロディを追わずにハイトーンのシャウトを撒き散らすヴォーカルが曲の輪郭をなぞる事を半ば放棄していたせいもあって、曲の骨格……つまり、リフとグルーヴが剥き出しになっていたところは、ある意味2ndアルバム以上にハードロック的と言えなくもなかった、と思う。また、テンポを落として重量感のあるリズムを作り出す演奏がなされていた曲が多かったが、その辺りの重さとグルーヴ感は殆ど観客を見ずに下を向いたまま一心不乱に演奏していたベースによるところが大きかった気がする。前述の「One Way In, No Way Out」、「Getaway」、そして「I Need Love」辺りは、特にやや低くなったテンポがすごく格好良かった。
と、まあ割と冷静に観てきたように書いているが、実際のところはライヴ中盤くらいから半ばアタマの中身は飛んでいた気がする。ライヴが始まると同時に最前列のブロックに陣取った人たちは前に殺到したので、結局俺もMuseの時の教訓を活かせずに最前のブロックまで行ってしまってそこでずっと身体を揺らしていた(酸素がちょっと足りんなあ、とぼんやり考えていた)。始まってしばらくは内心で首を傾げてしまうような内容だったが、中盤〜後半は文句なしに格好良かったと思う。特にラスト3曲、必殺の「The People」に1stで最も好きな「Disco」、そして曲の中間部で全員がタイコを叩き始めて、要するに気持ち良く乗れるリズムがあればそれで良し、と言う身も蓋も無い姿勢が露わになった「Bleed From Within」の流れは圧巻。ほぼベストな選曲と曲順での90分弱、素晴らしいライヴだった。また観たい。
セットリストは以下の通り。
1.Welcome to the North
2.The Truth is No Words
3.Freedom Fighters
4.Cessation
5.Human
6.Take Long Way and Walk It
7.Breakin'
8.One Way In, No Way Out
9.Getaway
10.I Need Love
11.Too High
12.Into the Night
13.People
14.Disco
15.Bleed from Within
帰りがけに森永さんとすれ違った。お疲れ様でした、お互い。


それから。
ライヴが終わってから定食屋でビール飲みながら砂ずりともやしのバター炒めを食べていたら(独りで。何だか寂しい)、俺の後ろの客から注文を取っていた店員さんが「硫酸バスターチキンです」と大声で厨房に告げていたので驚いたが、あれは多分「13番さんチキンです」と言っていたのだと思う。聞き違えたのは耳鳴りが酷かったせいだと言う事にしたい。