Boom Boom Satellites/Spine+Dive For You  (ASIN:B000666WN2)

タイトル通りの両A面シングル。3rdアルバム「Photon」は静のイメージが強く、どちらかと言えばじっくり聴くような音楽だったが、本作は両曲ともに非常に攻撃的、かつ高速。ロックのカタルシスを前面に押し出している。
まず、#1「Spine」。脳内麻薬のためのチューニングのようなスクラッチノイズ、何時になくテンション高くアジるヴォーカル、疾走する高速ブレイクビーツ、脳内を侵食して加速するシンセ音。とにかく、速い。実際のBPMも速いが、体感速度が尋常でない。研ぎ澄まされた音の全てが聴き手……と言うかこの音を体感する者の意識を加速させて、身体を突き動かすと言う極めてシンプルな目的に特化している感じ。その為、凝り倒したブレイクビーツや音色の選び方、丹念に積み重ねられた音の作りにも拘らず、非常に単純な曲に聴こえる。「速い」と言う事がただそれだけで格好良いように、この曲もただひたすらに格好良い。ライヴを強く意識して作られているのは明らかで、冒頭のスクラッチに大歓声が重なるのがはっきり想像出来る。そういう曲。いわゆるキラーチューン。
#2「Dive For You」は映画「Appleseed」のサントラにも使われた曲。こちらはベースから曲が始まったりギターが前面に配されていたり、またヴォーカルがちゃんと追うメロディがあるので、よりロック的な印象が強い。「Spine」がとにかくブッ飛ばす曲であるのに比べると、こちらの方はややテンポと重心が落ち、グイグイと引っ張られていくような感じ。その重量感とシンセ音やヴォーカルとの対比が、自由に空間を飛び回っているようなサイバーな浮遊感と疾走感と膨大な麻薬的快感を産み出す。こちらも完全にライヴ仕様。
以前の彼らの曲は、スタジオ盤を聴く限りではどこか抑制的であり、ライヴを体験した事が無い身としてはそのテンションが上がり切らない所にもどかしさを感じる事がたまにあったが、この2曲はそういう事を考える必要が全く無い。一切の留保や説明が必要無いテンションの高さ、格好良さ。アルバムに期待したい。そしてライヴが観たい。


全くの余談だが、アートワークがThe Haunted「rEVOLVEr」と被っている。ブンブンはこれ、ホーンテッドはこれ。かなりの被り具合。