ヘヴィメタルはポップミュージックではない

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いつも興味深く読ませて頂いているEVERESTさんのマンドゥ・ディアオ評より。

それがロックだろうが、パンクだろうが、その音楽にはポップミュージックという最低限の”マナー”が継承されていばければならない。そうじゃなきゃ、それは単なる自己満足(あるいは”自称アート”とでも呼んであげようか?)でしかない。つまり客を選んだ時点でゲーム・オーバーというわけ(もう100回くらい書いてるけどね)。

「ロックだろうが、パンクだろうが」のくだりにヘヴィメタルが含まれていない。これは、メタルが「ポップミュージックの最低限のマナー」と言うものとは独立し、なおかつそれと同等の強度を持つ音楽の作法を確立している事を示唆している……訳ではない。ポップ保守を標榜するQJさんにとって、ヘヴィメタルとは名前を挙げる事がそもそも思い付かないほど認識の埒外な音楽ジャンルなのだろうと思う。辺境の店へようこそ。
ただ、この記事で(マンドゥ・ディアオの踏み台として)糾弾されているハイヴズと、俺が今日感想を書いたAngraと、どっちの方がこの記事で書かれている「ポップミュージックの最低限のマナー」と言うものに近いかと言うと、明らかに前者なんですよね。マンドゥとハイヴズの差は、マンドゥとAngraの差に比べると問題にならないほど小さい。そして、ヘヴィメタルのマナーに則った音楽を作り出すAngraは確実に客を選んでいる。となると、上の言をそのまま受け入れれば、彼らの音楽とは自己満足の音楽であり、最初からゲームオーバーの音楽だと言う事になる。Angraのメンバー、ビートルズとか別に聴いてなさそうだしな。
にも拘らず、このブラジルのヘヴィメタルバンドは10年を超えるキャリアと確かな実績を持ち、ヘヴィメタルの顔役バンドの一つとして絶大な信頼を得続けている。母国ブラジルでは英雄的バンドであり、フェスともなれば万単位の客を熱狂させるAngraが「選んだ」客は、客を選ぶことのないポップミュージックのど真ん中であると評されているマンドゥ・ディアオの客よりも、世界全体で見て、たぶん多い。つまり、ポップなバンドよりもポップでないバンドを支持する人の方が(無論、両バンドはキャリアに随分と差があるので同列で考える事には無理があるが)多いと言う事になる。このズレは、とても面白い。
……んー、考えのが上手くまとまってくれないなあ。ただ、特にこのQJさんの意見に対して異論があるわけではなくて、色々なものの見方があるのだなあ、と読みながら考えていた、って事が言いたかった。人生いろいろ、観点もいろいろ。まあ、人外の連中が闊歩する極めてエクストリームな音楽もまたヘヴィメタルの中に含まれるのも確かではあるが、ジャンル総体としてはヘヴィメタルがポップミュージックでない訳がないんだよな。俺を含めて、多くの人が支持している音楽なんだし。そこは確かだと思う。