神様比べ

祖母からものすごい話を聞いたので、今日はそれについて書く。
祖母は、比較的穏当で実害のあまりない神道系の新興宗教(名前は「世界救世教」と非常に胡散臭いが)を信心している。で、その祖母が一人で家に居る時に、「ものみの塔」の布教が来たんだそうな。祖母は帰ってもらおうとしたが、執拗に「ちょっとでいいですから、お話を聞きに来ませんか」と迫って来るので、彼に向かって祖母はこう言ったらしい。
「いえ、私もう別の信心をしているんでいいです」
だが、ものみの塔の末端構成員は祖母が別の宗教を信仰していると言う事を知ってもなお(と言うか、だからこそと言うか)言い募ってきた。そこで、祖母はこう言って相手を追い返した、と俺に話してくれた。
「いえ、私のところもそちらさんも似たようなもんですからいいです」
似たようなもんですから。
……。
俺はこの顛末を聞いて馬鹿笑いした。痛快過ぎる。
ものみの塔と言えば、排他的かつ攻撃的で「輸血拒否」を始めとして様々なトラブルを巻き起こしつつも何故か信徒を増やしているキリスト教の分派と言うか異端だが、その信徒に向かって、一神教の教徒に向かって、「私のところもそちらさんも似たようなもんですから」と言い放ち、相手を帰らせるとは。あんまりと言えばあんまりな、宗教に不可欠な建前も何もあったものではない物言いだが、正しい。完全に正しい。なかなか言えない言葉なのは間違いないと思う。
中東辺りの奴らに聞かせてやりたい。祖母が全くの素でその台詞を口にするところを。