タッタラター、タッタラター、タッタカタッタッター

車に乗って昼飯を食べに行った。定食を食い終わって、さて帰ろうかと駐車場に行くと、一台の軽自動車が隣の車にもしっかり寄せずにいい加減な止め方をしていて、完全に出口を塞いでいる。なんだこいつは、と憤慨しつつ、店の人に頼んで車の移動を呼びかけて貰ったら、俺と同年代のえらく軽そうな兄ちゃんが歩いてきた。軽い見た目に反して「すみませんでした」ときっちり謝ってくれて(この時点でこの人に対する悪印象は幾分和らいだ)、それから駐車場まで歩いて行って、彼はキーをポケットから取り出して遠隔操作でロックを解除できるボタンを押したんだけども、そのボタンを押した瞬間にキーが開くだけでなくエンジンが起動した。こんな風に外から一発でエンジンが掛けられるようになっている車と言うのを俺は初めて見た。正規の仕様ではなさそう(ひょっとしたらそう言うオプションか何かがちゃんとあるのかも知れないが、俺は車は移動手段くらいにしか考えられないので知識が殆ど無い)ので、多分あれは改造なのだと思う。ちょっと危ないんじゃないかな、と思っていたら、外付けのスピーカーからエンジンの起動音とともに英語のナレーションが聞こえてきた。何と言っているのかはわからないが、低く抑制気味であまり人間味の無い声で、それは何だかロボットの声を想像させた……と、ここまで考えて気付いた。この人、外からボタン一つでエンジン起動&搭載された人工知能がアナウンス、みたいなノリがしたかったんだな。「はい、マイケル」って車に言わせたかったに違いない。格好いい……いいなあ。この時点で彼に対する悪印象は完全に払拭された(我ながら安いとは思うが)。
俺もあんな風に勝手にエンジンが掛かって胡散臭げなセリフを喋りだす車が欲しい。そして、その車とともに巨悪を薙ぎ倒そうと思う。


ところで、見出しタイトルは「ナイトライダー」のテーマを適当に口ずさんだ時の気分を表しているが、このフレーズ、The Crown(「The Speed Of Darkness」)やSystem Of A Down(「I-E-A-I-A-I-O」)が自分たちの曲中で引用している。やっぱりあのドラマは人気があったんだろうか。他にも引用している人たちがいるのかも知れない。