変身バッグ

トートバッグを肩に提げて歩いていると、バッグの紐が段々と肩の一番具合の良い位置からずれてくる→手でずれを直す、と言うのを一定の周期で繰り返すことになるが、たまに本当なら手で直すところを横着して軽く身体を揺するだけで直す事がある。今日も歩いている途中にトートバッグのずれをそうやって直したら、唐突に子供の頃読んだ「西遊記」を思い出した。身体を軽く揺すって変化の術を自分に掛ける、ってシーンが作中にあって、あれは今俺がやったみたいに身体を揺すって変身していたんだろうか、と想像する。一瞬だけ、実は今この瞬間に自分の姿かたちが変わっているところ(身の丈3メートルで三面六臂の大男になったり、超絶美少女になったり、一旦BC戦犯になってから貝になったり)を考えてみたが、勿論実際にそんな事になったりはしなかった。こんなしょうもない事を考えるのは蒸し暑いせいだと思う。
夏はあまり好きではないが、夏になると色々な事を暑さのせいに出来るので助かる(本当は何の解決にもなっていない)。


ところで、この前の「月のたまご」もそうだが、最近子供の頃に読んだ本の内容を思い出したりそこから連想が進む事が多い……と、今もこの文章を書いていて、昔大好きだった「ドリトル先生」シリーズの登場人物(と言うか登場動物)で人語を話すオウムのポリネシアが、シリーズ一冊目の「ドリトル先生アフリカゆき」だけで使っていた「世に言う〇〇です」って口癖を思い出した。
本の事だけでなく、子供の頃や中高生だった時期の話を思い出す事も増えているような気がする。世に言う郷愁です。