苺と俺

やたらと老けた顔の男子高校生が、電車の中でイチゴオレを飲んでいた。三十代っぽい顔立ちとイチゴオレ、と言う組み合わせはかなりミスマッチで見ていて妙に可笑しかったが、彼の表情自体はイチゴオレに心底満足しているような顔だった。きっと本当に好きなのだと思う。
彼があまりにも美味そうに飲んでいたせいか、気が付くと、電車から降りたら直後にイチゴオレを買っていた。紙パックにストローを突き刺し、頬をすぼめて吸う。久しぶりに飲んだけど、美味しい。疲れが少し取れそうな味。一気に飲み終わって、満足した気持ちになった。
多分、その高校生以上に俺とイチゴオレの組み合わせは傍から見ておかしい。人の事をどうこう言える立場ではない。