カルマミルク

サークル絡みの用で大学に行った。久しぶりに真っ当なサークル活動をしていたらコーヒーを飲みたくなったので、部室があるサークル棟を出て、道端でラクロスの練習をしている男子学生の脇を通って自販機まで行ってブラックの缶コーヒーを買う。その場で缶を開けて一口飲み、今一つぱっとしない曇天の空を見上げた。缶コーヒーってどうしてもっと大きなサイズのが売ってないんだろう、などと思いつつコーヒーをもう一口飲んでぼうっとガツッってなんだ痛これ顎硬?
……すぐにラクロスやってた男子学生が駆け寄って来たので、ラクロスの結構硬いボールが顎に直撃したのだと言う事が解った。日頃の行いが良いおかげでそれほど痛い当たり方をしなかった事もあって、ボールがいきなり顎に当たった事自体には驚かなかったが、その代わり、自分が全然驚かなかった事にはちょっと驚いた。「すいません、マジすいません」って言っている彼に対して「んー、気にせんといてねー」などと、自分では気が付かないうちにネジが数本飛んだんじゃねえかってくらいユルくて普通な応対を俺はしていた。
ラクロス男からは、ぼけっと空見て突っ立ってた男の顎にボールがブチ当たり、そいつの身体は一瞬グラッとしたものの表情も変えないままで(上では混乱してるように書いたがそれは本当に一瞬の事だったし、顔には全く出なかった)すぐ立ち直ったように見えたのだと思う。俺の表情や挙動に余りにも変化が無かったせいか、彼は怪訝な顔をしていた。変な人だと思われたような気がする。
何故こんなに動じなかったのかと言うと、多分、ラクロスやってるのを見たときから、なんかあれ当てられそうだなと頭のどこかで考えていたからなのだと思う。何と言うか、今日に限った話でなく、そういう星の巡り合わせの下で日々生きている。
……。
日頃の行いはやっぱり悪いんじゃないかって気がしてきた。