めぐりくるはる

天神を歩いていると、高校生(男)が乗った自転車が前の方からこちらへ走って来た。今日が卒業式だったようで、カゴを見ると、カバンと簡単な花束が載せられている。肌寒い一日の午後、まだもう少しの間暖かくなったり寒くなったりで春にはならんのだろうと思っていた矢先にそれを見たので、ああやっぱりもう卒業式の季節って事は春だなあと思い直し、春ならばもっと暖かくて良いはずだと自分を騙して暖かい気持ちになろうとしたが無理だった。寒い。風が冷たい。薄着するんじゃなかった。それと懐も寒い。
仕方が無いので、もしその高校生とすれ違った瞬間に自分の肘の裏〜二の腕の辺りを彼の喉仏に当たるように突き出したら(ラリアットの体勢)、カバンとか花とかこの高校生本人とか全部吹っ飛ばんかな、などと考えて寒いのを紛らわしながら歩いた。
彼の制服は、いかにも3年間ずっと着てましたって風に着崩されていた。この頃、妙に高校の頃が、或いは高校そのものが懐かしく思える事がたまにある。