CCCDとゲルググ

前によくつるんでいた友達の中にゲルググという名前のインディースカパンクバンドが猛烈に好きな奴がいて、勧められたのでシングルを一枚買ってみたんだけれども、自分の趣味とはちょっと合わなかった(その頃は今よりも原理的でメタルしか聴かなかった)ので何回か聴いた後に弟にそのシングルをやってしまった、と言う事があった。4年ちょっと前の話。
その後、自分から積極的に観たり聴いたりするような事は無かったので、ゲルググと言うバンドの存在をほとんど忘れていたが、今日学校の帰りにレンタル屋に寄ってみると、新作のところにそのゲルググのニューアルバムが何気なく置いてあった。しかも、ジャケットには例のCCCDマーク付きで。
俺の頭の中にあるゲルググに関する記憶は、半ば無理矢理そのシングル「ジゴロ・スカ」を勧めて来た時の友達の喋り口調と、楽しそうだしやたら勢いは良いのだけれどもやはり自分の好みではないな、と言う曲に対するぼんやりした感想しか無い。だから、インディーズだったはずの(調べてみたら数年前にメジャーデビューしていたらしい)ゲルググってバンドとCCCDと言う去年から出回り始めたごく商業的で不完全なメディアが自分の中で全く結びつかず、俺はレンタル屋の通路に立ち尽くしてアルバムジャケットをじっと見ていた。まるで自分の時間軸がずれてしまったかのような錯覚を感じた。
これも何かの縁だし、数年か振りに聴いてみようかと思って一度手に取ったが、ゲルググCCCDと言う組み合わせを目にした時の感慨めいたものが俺には何かしら重要な意味を持っているように思えて、アルバムは新作の棚に戻した。今アルバムを聴く事でその何かが損なわれるのも興醒めな気がしたので。
結局何も借りないまま、アルバムを返却しただけでレンタル屋を出た。二日分の延滞料金を支払ったので、帰りがけに牛丼が食えなかったのが切なかった。