三つ子百まで踊り忘れず

霊柩車とすれ違った。
見るの久しぶりだな、と思いつつ霊柩車が遠ざかってゆくのをぼうっと眺めていたら、自分の両手に何か違和感を感じる。視線を落として手元を見てみると、俺は全く無意識のままに、両の親指を拳の中に隠していた。そういや、子供の頃よくやってたっけな。
……。
黒塗りの車に導かれ、プリミティヴな衝動に身を任せる23歳。
独りで歩いている時で良かった。心からそう思う。