くるり/How To Go (シングル)

借りてきたのでざっと感想を。
衒いの無いシンプルなギターロックだが、バンドサウンドの説得力が格段に増している。無国籍風のギターとリズムのうねりが作り出す重心の低いグルーヴが今までと桁違いに分厚くスケールが大きく、けれども身の周りの事を身の丈のまま歌う歌詞とさりげなくポップなメロディの質は今までのまま。そのギャップが非常に面白い。かなり遅い曲だが、音数は少ないながらも目の詰まったバンドサウンドと平坦な(単調ではない)メロディの流れがその遅さに実に良く合っていると感じた。グイグイと聴き手を引き付ける押し出しの強さとあっさり日常の遠景に埋没する淡白さを併せ持ち、聴いていて誰かが街をぽつぽつと歩いている図と大河が悠々と流れる様を同時に連想させもする。極私的にして雄大、これは名曲だと思う。
カップリングは、爽快なメロディを持つ「すけべな女の子」は今ひとつ自分には響いて来なかったが、どことなく和風で大仰なメロディと展開をさらりと聴かせる「地下鉄」はとても気に入った。