帰り道。ふらふらと普段あまり通らない辺りを散歩がてらに歩いていたら、こんな看板を見かけた。
「焼き鳥居酒屋
 


     め」
何と言うか、明確過ぎてどうかと思うよなコンセプトの店だと思う。石塚英彦のような店主。石塚英彦のような店員。石塚英彦のような看板娘。石塚英彦のような常連客……いや、勿論この想像は間違っている。石塚英彦は基準を大幅にオーバーしているから「太め」の中に入れてはいけない。では具体的に「太め」と言うのはどの程度の姿を想像するのが適当なのだろうか、などと数瞬のうちに考え、そしてもう一度看板を見た。
「焼き鳥居酒屋
 



     助」
一応俺自身の名誉のために断っておくと、崩し字で書かれていた。
……。
もういっそ太めでいいよ。